自宅を一瞬にしてミニシアターに変えてしまうホームプロジェクター。我が家も映画やYouTubeを壁一面に投影して楽しんでいます。
でも、せっかくプロジェクターを導入するなら、ゲームだって大画面でプレイしたいですよね?
しかし、動きの速いバトロワ系や、スポーツゲームを快適にプレイするには、プロジェクター側にそれ相応のスペックが必要になります。一般的な家庭用プロジェクターでのプレイはやっぱり難しい・・。
そんな中、DLPプロジェクターメーカーとして世界トップシェアのBenQから登場したのが、”ゲームプレイ特化型”の4Kホームプロジェクター「X3000i」です。

4K解像度、3,000ANSIルーメン、LED光源、Android TV 9.0内蔵と、今プロジェクターに求められる基本スペックをおさえているだけではありません。
フルHDなら最大240Hz(ゲーム機は最大120Hz)と高リフレッシュレートに対応し、かつ最速4.16msの応答速度でFPSやSPGもストレスなく大画面でプレイ楽しめます。
4K@60Hzに上げても応答速度16.67msなので、高精細な映像で活きるオープンワールド系のゲームにも最適!
今回は、ベンキュージャパンより1ヶ月間お試しさせていただいたので、そんなBenQ X3000iで実際にゲームプレイした感想、メリット・デメリットなど詳しくレポートしていきます。
BenQ X3000iの外観と付属品
BenQと言えばZOWIEやMOBIUZなどゲーミングモニターのイメージが強いですが、実はDLPプロジェクターというカテゴリにおいて10年以上世界トップシェアだそうです。そんなBenQから発売されたのがこの「X3000i」という家庭用ゲーミングプロジェクター。
主なスペックは以下のとおりです。
製品名 | BenQ X3000i |
---|---|
解像度 | 4K UHD (3840 x 2160) |
明るさ | 3000 ANSI lumen(LED光源) |
色域 | DCI-P3 (100%) |
フォーカス調整 | 手動(本体ダイアル) |
台形補正 | 垂直(自動)水平(手動)± 30度 |
投写サイズ | 60~180インチ |
サイズ(W x H x D) | 272 x 207 x 259.4mm |
重さ | 約6.6kg |
ピクチャモード | 明るい / リビング / ゲーム / スポーツ / シネマ / DCI-P3 / (3D) / (HDR10) / (HDR Game) / (HLG) /ユーザー |
入出力端子 | ・HDMI(2.0b) x3(うち一つはAndroid TV専用隠しポート) ・12V Trigger ・USB-A ・SPDIF ・RS-232 ・Audio Out |
スピーカー | 5W x2 (チャンバースピーカー) |
応答速度 | ・16.67ms: 4K/60Hz動作時 ・16.67ms: 1080p/60Hz 動作時 ・8.3ms: 1080p/120Hz動作時 ・4.2ms:1080p/240Hz動作時 |
内容物は、紙類を除いてプロジェクター本体、リモコン、Android TVのドングル、高さ調整用のスタンドとなっています。

X3000iのパッケージ一覧
- X3000i本体
- Android TVのドングル
- 電源ケーブル
- リモコン
- リモコン用の電池
- 調整足
- クイックスタートガイド
- 説明書
- 製品保証書
白基調の本体カラーに合わせてケーブルやリモコンが同系色で統一されているのが良いですね。
角の取れたキューブボディが特徴的なプロジェクター本体。フロントにはアクリルのようなコーティングが施され高級感があります。

筐体サイズは、横272x高さ207x奥行き259mm。以前紹介した同社の4Kモデル「GK100」よりはやや大きめですが、搭載スペックを考えるとかなりコンパクトなサイズ感となっています。
特筆すべきは、スピーカー性能。背面に、コンデンサー型のtreVoloステレオスピーカーを搭載。前モデルのTK700STiはモノラル構成でしたが、5W+5Wのフルレンジ・ステレオにアップデートされています(音質については後述します)。

スピーカー上部には、各種インターフェース。

入出力端子一覧
- HDMI(2.0b) x3(うち一つはAndroid TV専用隠しポート)
- 12V Trigger
- USB-A
- SPDIF
- RS-232
- Audio Out
HDMIは4K HDRに対応しており、HDR対応コンテンツならより高精細な映像美を楽しむことができます。また、SPDIFや12V Triggerをそなえ、音響機器を繋いでホームシアターみたいにすることも可能です。
リモコン操作に対応するX3000iですが、本体側にも操作パネルが付いています。

パネル右側には、レンズのズーム・焦点合わせ用のダイアル。

底面にはネジ穴を備えますが、これは天吊り用の穴で、三脚設置には対応していません。

一般的なプロジェクターは三脚を使って高さを出すことができますが、それができない本製品はあらかじめ設置場所を確保しておく必要があります。
ただ、物理的な高さ調整用の脚に加え、垂直・水平両方の補正機能を内蔵しているので、サイドテーブルやソファー横の棚などの角度がある場所でも均一に投影でき、実際にはそこまで気にならないですね。

操作は基本的に付属のリモコンから行えます。

右上のコントローラーマークを押すと、FPS、RPG、スポーツの3つのゲームモードを切り替えることが可能。こうした機能はゲーミングプロジェクターならではですね。
従来モデル同様、音声操作ボタンやPrime Videoボタンも付いており、ラグもほとんど感じず操作性については言うことナシです。
BenQ X3000iの使用レビュー

どこまでも明るく、高精細な”4LED光源”
明るさ3000ANSIルーメン、4K UHD(3840×2160)に対応と、家庭用プロジェクターとしてトップクラスの投影性能であるBenQ X3000i。
加えて、高いコントラスト比(50,000:1)と、DCI-P3カバー率100%で色の鮮やかさ、正確性という点でもこれ以上ないスペックを有します。


また、ドットの粗が目立つ3LCD方式ではなく、鮮明な投影が可能な単板DLPを採用していることもあり、環境に左右されず高精細な投影が可能です。昼ごろの比較的明るい時間帯でもカーテンを閉めずに視認できるくらいなので、明るさに関してはもう言うことないですね。

もう一つX3000iの大きな特徴として、一般的なレーザー光源ではなく目に優しいLED光源が採用されています。有害なブルーライトを発さない他、省エネ駆動のため高耐久で動作音が静かといった点がLED光源のメリット。

加えて、一般的なLED光源よりも輝度出力の高い4LED(RGBB:4色のLED)を採用している点も、ANSIルーメンの値が同じ「TK700STi」より明るく投影できている理由かなと思います。
ちなみに、投影時の騒音レベルは30dBA前後(エコモード時は28dBA)と表記されていますが、公称値のとおりゲーム投影中の騒音レベルは40dBAを下回っていました。

ファンの回転音自体ははっきり聞こえますが、スピーカーが高出力なのもあっていざ動画を見始めてしまえば本体の動作音はほとんど気になりません。これまで10台くらいハイエンドのプロジェクターを触ってきましたが、ここまで静かなモデルってほんとに希少なんですよね。
フルHDなら240Hzかつ応答速度4.16ms出せる
”ゲーミングプロジェクター”である本機の最大の特徴は、何と言っても現状最高のゲーミングスペックを有している点です。

本来プロジェクターというのはモニターと違い内部でさまざまな映像処理が行われるので、ゲーム機からの信号を映像として出力するまでに時間がかかり、ラグが生じるのが普通です。
しかしX3000iなら、解像度を1080p(フルHD)に設定することで、なんとリフレッシュレート240Hz(ゲーム機は最大120Hz)、応答速度4.16msまで引き上げることができます。
応答速度
- 16.67ms: 4K/60Hz動作時
- 16.67ms: 1080p/60Hz 動作時
- 8.3ms: 1080p/120Hz動作時
- 4.2ms:1080p/240Hz動作時
リフレッシュレートについては、もはやハイエンドクラスのゲーミングモニターと同レベルの性能ですが、実際にFPSゲームでどの程度プレイできるか気になるところ。

VALORANTをフルHD・高速モードに設定してプレイしてみました。大画面だと、そもそも視線移動や首の振りが多くなるので長時間プレイは難しいですが、1時間くらいプレイしてみて遅延自体はほぼ感じませんでした(スゴイ・・)。それこそ僕のようなライトユーザーがカジュアルにゲームを楽しむ分には、モニター時と比べて何の違和感もなく遊べちゃいます。
もちろん大画面かつ高精細になるほど没頭できるオープンワールドのゲームとの相性は言わずもがな。

100インチ(2.5mの距離)以上のサイズになると、まるで自分がゲームの世界に飛び込んだかのような錯覚を起こすくらい没入できますね。4LEDの明るさと4K解像度も相まって映像も息を呑むほど美しく、これら体験価値を考えると”20万円強”という価格も決してべらぼうに高いわけではないように思えてきます。
プロジェクターとしての基本性能も充実
映像の美しさ、ゲーミング性能はもとより、プロジェクターとしての基本性能や操作性も充実しているX3000i。
投影サイズは最大180インチ対応で、横幅398.4cm×縦幅249cmの超大画面でゲームや動画が楽しめます。本体のズームダイアルを上手く活用すれば、2.5mの距離で100インチの大画面投影が可能。6畳ほどの部屋なら十分100インチ投影ができます。

僕も7畳の書斎でX3000iを設置してみましたが、120インチに迫る大画面で投影できました。

最近はやりの単焦点モデルとかではないですが、これだけ投影距離が短ければ小さめの部屋でも十分大画面で投影できますね。
また、台形補正(キーストーン)は、垂直(タテ)方向のみ自動対応。ややタイムラグがありますが、誤認識はなくしっかり補正してくれます。この補正機能のおかげで初回のセッティングも楽ちん。水平(ヨコ)方向も、手動での補正が可能です。

本体底面のヒンジで角度調節ができ、台形補正と合わせることで理想のポジションで安定して投影できます。

輝度やコントラスト、色味の調整が細かく設定できるX3000iですが、あらかじめ6種類のカラープリセットを搭載。普段の動画視聴では、高コントラストで明瞭の「リビング」がおすすめです。

明るく | 輝度を最大限明るくします。輝度を最高に明るくする必要がある環境に適した設定。 |
リビング | 彩度明るく、シャープに調整します。やや暗めの部屋で動画を視聴するのに適した設定。 |
ゲーム | ゲームプレイに適したモード。敵が隠れられないように暗いシーンの視認性を向上させます。 |
スポーツ | 高彩度の色と高い輝度レベルでスポーツ鑑賞に適した設定。 |
シネマ | 低い輝度レベルで忠実な色再現と深いコントラストで、比較的明るい部屋での動画再生に適した設定。 |
日中 | 画像のぼやけた範囲を明るくします。屋外や照明の明るい部屋などに適した設定。 |
機能面で唯一個人的に残念に感じたのが、オートフォーカス機能が非搭載であること。
最近はGS50などモバイルタイプでもオートフォーカス付きモデルが増えていますが、X3000iはは手動でピントの調整が必要です。

ダイアル調整自体の操作はスムーズにできますが、設置環境を変えた際にわざわざ本体から手動でフォーカスを調整するのはやや手間に感じますね。
Android TV 9.0・純正アプリストア搭載
BenQ X3000iは、OSにAndroid TV 9.0を搭載しています。

Androidは、付属のワイヤレスドングル(QS01)を本体に繋ぐことで利用できます。ドングルは一度セットしたらそのままでOK。

肝心なアプリストアがサードパーティ製のものも多い中、X3000iは純正のGoogle Playを収録。

YouTubeやAmazon Prime Videoをはじめ、U-NEXT、DAZN、Hulu、dTV、Abema TVなど主要VODを含む5000種類以上のアプリがインストール可能とエンタメ性能は申し分ありません。
ちなみに、NetflixのみGoogle Playからインストールできない仕様になっていますが、Fire TV stick等の外部接続機器を使用するか、PCからのワイヤレスキャスト、またはケーブル接続により視聴できます。

また、「torne mobile」や「DiXiM Play」を使えば、レコーダーやnasneなどWi-Fi接続機器をつなげてテレビを視聴することも可能です。

唯一無二のサウンド体験
いくら大画面・高精細に投影ができても、本体から鳴る音がチープだと臨場感は半減してしまいますが、コンデンサー型のtreVoloステレオスピーカーを搭載し音質までこだわり抜かれているX3000i。
前述のとおりフルレンジ・モノラル構成だった前モデルから、5W+5Wのフルレンジ・ステレオにアップデートされ、低音から高音までどの帯域もしっかり臨場感のある音を鳴らしてくれます。

また、シネマ/音楽/ゲーム/スポーツ/カスタムの5つのサウンドモードを搭載し、コンテンツに合わせて選択が可能。

ゲームプレイ時もサウンドモードをいじれますが、特に映画を再生したときにシネマモードに設定すると、一番このスピーカーの良さを引き出せるように感じました。プロジェクターを自分の前に置いて投影しても、音像が後方向にある感じというとか、より立体的で映画館に近いようなサウンドになるのがたまらないですね。
プロジェクターでゲームを楽しむならBenQ「X3000i」

今回は、BenQの家庭用ゲーミングプロジェクター「X3000i」についての紹介でした。レビューをまとめるとこんな感じ。
壁一面の大画面でオープンワールドゲームの世界に飛び込むもよし、ガッツリFPSやアクションゲームを遊ぶもよし、もちろん映画鑑賞もこれ以上ない高画質で楽しめる。そんなオールインワンプロジェクターBenQ X3000i。
日中でもプレイできる明るさ、4K HDRの映像美、フルレンジ・ステレオの迫力サウンド、Android TV 9.0内蔵と、多様化するユーザーの要望をまとめてカバーする一台となっています。


